心菜りず
零したくない、想いの雨。
満月さんの数ある作品の中で、一番その場の空気が鮮明で、センセーショナルな部分が直に伝わってくるような作品だと感じました。
それは設定が愛する人の死ややるせない悲しみ故ではない。一人一人の想いが、こちらも息を飲む程心の芯に伝わってきました。
特に、〝例えばどちらかが、ズルさと悲しさを紛らわせようとする弱さと、纏りつく強さを持ち合わせていたら。そのままキスをしてしまいそうな、そんな空気。〟という二文が心に留まりました。
柊花のキリキリと追い詰められる心、樹が守りたかった約束、藤乃の精一杯受け止めてあげたい思い、咲良の心の奥。それこそ、読み手側が一つも零さず汲み取りたい、そう思える素敵な作品でした。
P.S. 三浦くんファンとして三浦くんの登場(しかもフルネーム!)、とても嬉しかったです。