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派手ではないけど楽しめる作品
展開などは分かりやすく、きちんと最後に設定を拾いきって話を終えるので、読み心地がよかったです。

主人公は思い込みが激しい感がありますが、言動や心情に動きがあるのでイメージがしやすいです。
対抗馬が「本当に当て馬」みたいにいいように使われた印象はありましたが、10ページ強の作品なのでこれぐらいの勢いがちょうどよいかとは思いました。

花言葉の説明からナンパ男、相手役の彼が悔やむシーンに至るまで、会話が演劇を見ているようでした。
よく言えば、分かりやすい場面を状況が明確な言葉で説明しています。
悪く言えば、少しセリフくさく感じました。

設定に「いかにも話のために作りました」というぎこちなさも感じましたが、要所要所を押さえていて読みやすかったです。
〆は情景と心情をうまくまとめてさらりと表してあり、実に印象深いものでした。

趣味的なことを言うと、花言葉より先に、
「浮気うぐいす梅をば焦らしわざと隣の桃に鳴く」
という句を最初に思いうかべました。