雪風
ギャンブルの怖さ
ギャンブル依存症。
スロットをするためのお金を得るために、自分の体を売る、そんな本末転倒な日々を送る高校生、由香の行く先に待ち受けていたのは……。
短時間で、沢山のお金が飲み込まれてゆく。
それなのに、やめる事が出来ない罠。
一度大当りを経験してしまうと、その快感を脳が記憶しているのか、とまらなくなってしまう。
もっと勝ちたい。
負けた。
次こそは勝てるはず。
また負けた。
いいや、次こそは必ず。
その「次」は、際限無く続く蟻地獄そのものであるというのに。
勝ったとしても、負けたとしても。
そうしてお金の感覚が麻痺してゆくのだろう、有り難みが薄れてゆくのだろう、と。
けれども当人は気が付けない。
主人公の言動、行動がとてもリアルで、闇に飲み込まれてゆく由香の姿は、読んでいて苦しくなります。
日常生活でも、とてもありうる物語だと思います。
由香の母親の事件も含めて。
そして、心が高熱を出している時に誰かがくれた、何気ない、ほんのたった一言の温かさに救われる気持ち。
とても伝わってきました。
是非、読んでみて下さい。