うのたろう
中毒性のあるくささ
ページをめくるごとに身体じゅうががくすぐったくなり、どこもかしこももぞもぞしだして、思わず笑みがこぼれてしまう。
それほどまでに男くさい青春群像劇。
内容は主人公・川中恭士と不良・大神由秋との出会いを描いたシンプルなものだ。
が。
それが、でたらめにおもしろい。
内容・せりふ・キャラクターにいたるまで。
ふたりの出会いは中毒性のある男くささだ。
あとがきを読むと長編小説の番外編とのこと。
なるほど。「番外編」という名がこれほどまでにふさわしい作品は、なかなかない。
とんでもないクオリティで「番外編」が過不足なく仕あがっている。
じつは本編は未読である。
が。
ぜひ本編も読みたいと思わされる。
ラストの作者の誘導にうまくはまってしまったのか。
はたまた、ひょうひょうとした恭士や、にくめない由秋のコンビをまだまだずっと見続けたいと思ってしまったのか。
あるいは、その両方なのか。
まったくわからないが、この作品の持つすてきな毒性にやられてしまったことは間違いない。
四の五のいわずに読んでみろ。
おすすめだ。