NOEL
依存しきった不器用な双子の、恐ろしくも温かい家族愛のシリアス感を上手くコメディーにのせている
タイトルからはコメディー感を感じるが、丁寧な描写や双子の過去にはシリアスな印象がして、タイトルと雰囲気のミスマッチが新鮮でした。
しかしながらキャラが濃いのでしっかりコメディー感も醸し出せており、これほどまでにタイトルと内容に魅了される作品は初めてです。
また、双子である那都と柚朱のどちらが上か分からないから「きょうだい」と表記している所には、かなりのこだわりを感じます。
更に、転々とする視点から感じられる、不器用に那都を愛する柚朱がとても切なかったです。那都を看病するシーンではそれが特に感じられ、何気ない一般的な看病の動作も流れるように、けれど丁寧に描かれているため、柚朱の不安や切なさ恐れがにじみ出ていました。
しかし明らかになる二人の過去により、複雑かつ絡み合った感情が残酷なほど愛しく感じられます。
全体的に、双子の依存した家族愛が苦しみと愛しさを込めて、けれど楽しく描かれており、
句読点の打ち方や視点転換が絶妙であり、丁寧な感情描写や、10人以上いるキャラ達を誰一人放置せず、ここぞとばかり登場させれている作者様の技量には脱帽です。