うのたろう

光る構成力とのびしろの可能性
物語としては、かなり荒い。

が。
構成力は抜群に光っている。

とくに第1章の1ページ目。
プロローグにあたる部分にいたっては、読者にページをめくらせてしまう強烈な魔法がかかっているようだ。

物語は高校生の主人公・真紀の一人称で展開される。

真紀には小学校のころからの親友・優仔がいて、小学校からの腐れ縁・海がいる。

ふたりの女性とひとりの男性。
物語はこの三人を中心に進んでいく。

恋愛ベースだが、単純に「好いた、告った、つきあった」といった感じの、ありがちな退屈なものではない。

この作品はちゃんと読ませる物語としてつくりこまれている。
このあたりは、あなどれないなと単純に思う。

これより先はネタバレになってしまうので言葉をひかえる。

文章がていねいに書かれている部分と雑多になってしまっている部分との落差はたしかにある。

が。
ちゃんとおもしろい。
かなり荒いが、おもしろい。

そして、いくらでもおもしろくできる要素も満載だ。

まだ荒いが、のびしろがむちゃくちゃある。理屈ではなく、そう感じさせる作品だった。