mimiko
ゴシックロマンスの世界
目に見える、直接的な表現は抽象的で、色鮮やかな『赤』が印象に残る作品。
その奥底に流れる真実は、サブタイトルを頼りに想像してはみるのだけれど、やっぱり気味が悪くて、得体がしれません。
解答が欲しくて、こちらも逃げるように読み進めます。
ずっと、筆者さまの紡ぎ出す、恐ろしいけれど幻想的な描写に追いかけられます。
怖いと表現するより、ゾクゾクします。
ラストは、少しの安堵と憐憫と、やるせない想い。
読後感はいいとはいえませんが、恐ろしいのにどこか美しく、
人の嗜虐性を刺激するような、逆に慈愛の心を思い出させるような、
そんな不思議な作品でした。
万人向けとは思いませんが、表現のイメージ化がすばらしく、学ばせていただきました。