白昼夢

とてもリアルな恋物語
同僚の年上堅物教師への恋心を、丁寧に綴った作品。
大人の片想いならではの、控えめで落ち着いた雰囲気が、とても好印象でした。
文章もしっかりしていて、安心して読めますし、一人称ならではの細かい心理描写、リアルで自然な展開のため、読者は主人公にすんなりと共感できます。

ただ、23ページという短編にも関わらず、長く感じてしまいました。
ストーリーが淡々と進むからでしょうか。お化け屋敷でのやり取りや、生徒たちの冷やかしなど、せっかくのエピソードが生かしきれていない気がしました。個人的にはやはり、ドキドキするような展開が欲しかったです。

ラストは心に響きました。
『貴方は気付いているでしょうから、あえて気持ちは伝えない』
菖蒲のそんな潔さが、切なくて愛しくて。

失恋の痛みを吹き飛ばすように笑う菖蒲、
素敵です。