紅蓮

美しい
美しい、という言葉はこの作品のためにあるのだとさえ言える、そんな小説。

叶わない想いだけど、決してすれ違っているのではなく、確かにそこに存在している。
深く、どこまでも純真なふたりの気持ちが美しいです。

この作品を読んで、ただ結ばれなくて悲しいね、とか、切ないです、とか、そういった簡易な感想はありません。
空から落ちた太陽が海に消える、その瞬間を、浜辺でずっと見ていたい。余韻に浸りたいと思うのです。

淡々とした文、情景描写、心理描写、台詞まわし、全てに共通の雰囲気がながれ、作品を作っていて、秀逸だと感じました。

素晴らしい作品をありがとうございました。