逢崎 奈零
一番伝えたかった想いを、何度だって、押し殺した。
「“初めて”が欲しい」と動いた口元。いつも
壊れている自動販売機。彼が好きなプレーンの
ゼリー。0.7734の暗号。全てが、天の邪鬼な彼
なりの精一杯の愛情表現だった。
全て読み終えたあとにもう一度表紙を見て、読
み始める前には分からなかった文章の意味が分
かり、なんだか嬉しくなりました。秋、帆奈
美、間瀬くん、モっくん、ユイ、すっぴー。そ
れぞれの人物が作品において大切な役割を担っ
ており、とても楽しく読み進めることが出来ま
した。思わず「ふふっ」となってしまうシーン
から、目頭を刺激する切ないシーンまで、一
ページ一ページの展開に目が離せませんでし
た。
すっぴーの「…好きな人がさ、他の誰かと幸せ
になれるように影で守ってるのが自分だとした
ら、…結構な優越感じゃない?」という言葉が
好きです。それは強がりでもなんでもなく、本
心なんだろうなというのがひしひしと伝わりま
した。
素敵な作品をありがとうございました。