川瀬リノ
りんごより赤く
彼はりんごジュースが好きなんだって。
朝も昼休みも放課後も、彼はいつもりんごジュースを飲んでいる。
高野倫子、高校二年生。――りんごジュースに嫉妬。
いっつも、ただ見てるだけ。
黒板を消している彼をただ見つめて、一喜一憂。
彼、遠藤春くん。私の初恋の人。
彼との出会いは一年前、高校の入学式のとき。
彼とぶつかって、彼の友達に私がからかわれていたときだった。
「なんで? いいじゃん、黒縁眼鏡」
思わず、動きが止まった。
だって、初めてだったから。こんなことを言われたの。
だから、私は恋に落ちたんだ。
「……好き」
「え、うん。俺も好きだよ? このりんごジュース」
――違うよ、ばか。
どれだけ好きだ、っていっても気づいてくれない彼。
私は、そんな彼がにくいほど愛しい。
「今日から俺のりんごね」
「りんごジュースより、りんごが好きだよ」
私の頭は、彼で埋め尽くされてる――。
ほのぼのした、可愛い恋愛ものでした(・ω・)
春くんの鈍さが好きです。
ほのぼの系、可愛いのをお探しならぜひ♪