小毬汐日

伏線が紡ぎ出す甘酸っぱい恋物語
前作『ワールド オブ マインド』でインターネットのゲームで知り合ったみんなが仲良くなった、というお話を見たとき、一番最初に頭の中を過ぎったのは、やはりネット犯罪についてのことだったと思います。
そういう問題点をひとつひとつ取り上げて、余すところなく描いているSHI~NAさんは、やっぱりすごいなと思いました。

同時に、ちょっとした出来事をきっかけに当たり前の日常を壊してゆく、恋というものの大きさと繊細さ、そしてそれに気が付いて少しずつ戸惑ってゆく優の心の葛藤が、丁寧だけれど決して苦にならない長さで描かれていて、大変読みやすかったと思います。親友である陽菜ちゃんの言葉の一つ一つにもとても重みがあり、印象に残る台詞がたくさんありました。
優が自分の恋心を認識した場面も、初期の陽菜ちゃんの発言と、今までの優のさまざまな思いを受けている点が良かったです。

結末の清々しさに心が救われる素敵な一作ですね。