純子
明けない夜はない
フィクションはあまり好きではないのですが、何気なく読んでみたら不覚にも泣いてしまいました。
数々の障害を持つ主人公を取り巻く苛酷な環境には果てが見えず、途中であまりの救いのなさに目を背けたくなりました。
ずっと主人公視点だったから気付かなかったのですが、抜け出すきっかけは主人公自身にあったんですね。
よく『いじめられる側にも原因がある』と言いますが、全てに当てはまるわけではないし、いじめる側を容認するつもりもありませんが、確かに一理あると思います。
主人公が追い詰められて思い詰めてしまった辺りでは、あまりの理不尽さに泣いてしまいました。
そこで人生を終えてしまう人もいるでしょう。
しかし、作中にもありましたが、越えられない試練はないのです。
主人公はちゃんとわずかな周囲の優しさに気付き、抜け出すために踏み出しました。
たまたま一度で抜け出せただけで、もっと藻掻く人もいるでしょう。
でもいつかは抜け出せるはずです。
被害者意識に囚われず自らをも見つめ直して、新たな道に踏み出して欲しいと思います。
明けない夜はないのです。
なんてことが感じ取れる作品です。