うのたろう
テーマがまとまった詩集は等身大で声は生
この詩の主人公・女の子の語り口調が、胸に痛い。しあわせな時間ではなく、ひとりおき去りにされたあとの孤独の時間の心の叫びだ。
恨むでもない、後悔するでもない。発散の道をいまだ見つけられない状態の不安定さに共感できる人もおおいのではないだろうか。
現在29頁の公開ぶんまで読み終えた。前半はひとりの女の子を主人公としたものだが21頁目からの後半部分はさまざまな年代の主人公が作品ごとに変動し(そのなかには男が主人公の作品もある)ヴァラエティ豊かな作品に仕あがっている。
作品のテーマは一貫して失恋後の「発散の道をいまだ見つけられない状態の不安定さ」。しっかりと作品に芯がとおっている。こういった作品の場合、さまざまな感情のものをひとまとめにしてしまうと、とっ散らかった印象になってしまうのだが、この作品はテーマをしぼることによって、すべての作品をつなげている。
失恋直後の落ちつかないとき、終わってしまった昔の恋を思いだしたいときに、ちょっとページをひらいてみるといい。
こたえは見つからなくても、そのときの自分とおなじ気持ちの誰かがいることに、ほんのわずかにでも安心できるだろう。