あんず
甘酸っぱい
なんでもない自動販売機から始まるストーリー。
自分のペースを保ってはみるのだけれど
いつも結局氷上に振り回される僕。
だけどそんな氷上がいないと今度は氷上といるときの自分のペースが心地よいことに気づき始めて……。
丁寧で繊細な情景描写は個性的で穏やかに生き生きしていて。
単純な構成で入り込みやすいストーリー。
気が付けば僕が忘れ物に気づいた瞬間、つい同じように胸がドキッとして、頑張れ頑張れと応援している自分がいました。
サイドストーリーの氷上サイドもまた、彼女の強がりと優しさが伝わってきて魅力的です。
レモン水みたく甘酸っぱい恋。
一生懸命になればなるほどそれは
自動販売機のルーレット並にうまくはいかないけれど
思いがけない時にこそ、そのルーレットは当たるものなのです。
穏やかで、でもちょっぴり甘酸っぱい作品の雰囲気がとても素敵です。