風碧 蒼(かざみどり あお)
純白の美しすぎる別れ
この短い物語をここまで見事にまとめきった作者の力量に脱帽。
女性の側の一人称で紡がれる物語は、深く愛し合う二人のお互いに対する想いの丈が秀逸に描き出され、読み手にハッピーエンドを予想させ、期待させた。
不器用に彼女の指輪のサイズを聞き出そうする彼とそんな彼の考えが読めてしまって、それでも気付かない振りをしてクリスマスイブを心待ちにする彼女。
そんな二人が、心待ちにしていたイブに別れてしまう。でも、その理由はどうしようもないもので、しかたないもので……。
最後の電車の中での彼の語りのシーンがすごく良かった。あのシーンがあったからこそ、この悲しい物語は爽やかな読後感と余韻を残して美しく完結したのだと思う。
時期的にもぴったりなテーマでとても良かった。