鳥兎
怖い
読んでみた他の作品に比べ、何よりも威圧感のある、そして文句の言いようの無い緊迫感を持った小説。
一人の少女を通して、この世の歪みや、恐ろしさを、上手い文脈に乗せて、強く核心を付いてくる。
後から追いかけてくる伏線や恐怖、絶望や希望。怖いくらいに伝わってきて、この小説に魅了される。
次のページを捲らなければならない、そんな気がする。そして、その期待を、この小説は裏切らない。
読んでいて、気持ちが重くなり、悲しい運命を辿る人物が痛々しくて、とても辛いのだが、こんな人間臭い人間達を、どうしようもなく応援したくなる。
メッセージ性が強くて、文の構成を上手く使いこなしている。飽きる事は無い。
悲しく、重苦しいテーマを文面にのせながらも、何かを強く訴える力が物語にあるのを、この小説を読んでみて感じた。
とても素晴らしいと思う。
本当に出来た小説であり、上手いと言える。
この小説が完結するまで、悪夢のような世界で溺れる人物達を、応援していきたいと思います。
頑張って下さい。