レパード後藤
浮かばれない童話
絵本のような語りで綴られる全年齢向けの簡潔で読みやすい文章で書かれた短編。
ちょうちょを追いかける子羊、狼…内容もキャラクターも判で押したような童話そのもの。
しかし、この作品においてストーリーの「ヤマ・オチ・意味」を追求する事はナンセンスである。
本作のテーマは『丸呑みフェチ』以上でも以下でもなく、ただただ狼に食べられてしまうエンディングにむけて淡々とすすんでいくだけだからである。
その内容に興奮をおぼえるか否かが、作品の輝きや価値を左右する。
フェティッシュを取り扱った作品は「どんな話なのか」より「(その話を)どういう視点で読むか/どうとらえるか」が重要なのである。