森本万葉

闇に沈んだ日常が見えるストーリー
恋人を亡くし心に闇を抱えながら、生きる女性の物語。

詩的に綴られた文章から文学のような美しい雰囲気が感じられる作品でした。
よくある「恋人の喪失」を題材にした涙をさそう物語と違い、その後の主人公の生きざまに焦点をむけた内容はとても良かったと思います。
主人公ハルの心模様が一人称で詳しく表現されているためその自嘲的な雰囲気に容易に入り込めて、自分の痛みのように錯覚しながら読み進められました。

ただ、残念なことに主人公の病気に対する認識が2年も罹患しているわりに薄いと感じる表現がやや目立ちます。
自分は病気ではないと思い込んでいるにしても、それを上回る症状があるはずです。その辺りを盛り込んでいくともっと現実味が出るように思います。

表現方法はいろいろなのですが、文章の途中での改行や、文末に句点があったりなかったりとまちまちなのが気になりました。どちらかに統一したほうが纏まると思います。

内容はとても良いと思うのでこれからも更新頑張って下さい。