うのたろう
うまい文章、かわいい恋愛
ローティーンの学生のちょっとかわいい恋愛もよう。
そんな作品だ。
主人公・なつと結城くんは恋人どうし。
「ねぇねぇ、結城くん」
私の口ぐせからはじまる物語、どこかしずかで、とてもやさしい。
クールで無愛想な結城くんのだが、じつは不器用なだけ。
本当はやさしい。
それはなつも知っている。
この作品の色は明るくあたたかい。
雨のような一定のリズムでつむぎだされる物語。
ひどい雨ではなく、ラストシーンのような「夏の雨」だ。
また。
この作者の文章はうまい。
読者を引きこむ、読ませる文章だ。
心がぎすぎすとしてしまったとき、この作品を読めば、心がほっこりあたたかくなって、いつのまにか元気をもらえる。
そんなふうに思える作品だった。