うのたろう
オカマコメディに見せかけた、おおまじめな「探しもの」のお話
ヴァラエティ番組を見ているかのような、にぎやかな物語。
とっておきのボケや重要なワードの部分では色を変えたり、サイズを変えたり、ケータイ小説ならではの手法をつかい視覚的にもおもしろい。
へたにこういう手法をとってしまえば、寒々しくなるものだが、この作品にかぎってはそうではない。ボケもツッコミも、本編から脱線したわきの話もおもしろい。
ギャグがとんでもなく秀逸なのだ。
個人的な感想だが、色やサイズを変えなくても、そのまま大笑いできる小説に昇華できていると思う(それは葦原桃香の心のグロテスクシーンにもいえる、これはみごとだ)。
さて。
内容は水岡という性別男・心は女という、へんてこな彼(?)が主人公だ。
もちろん、物語はおちゃらけたギャグだけではない。しっかりとベースがあり、ギャグでごまかしているが本筋はいたってまじめ。
文章力もあり、しっかりとだいじなことをつたえてくれる。
現在公開している90頁まで読んだ感想だが、ぜひとも続きが見たくなる。
この作品のテーマになっている「探しもの」がひどく気になる。そんな気持ちにさせられる作品だった。
おすすめだ。