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3年前の4月19日3ページより
忘れもしないその日。
私と母と妹は逃げていた。
市内のとあるホテルに、ペットである1羽の兎を連れて。
理由は、父親からの暴力だった。
度々浴びせられる罵声や、街中でも構わず振るわれる暴力に耐えかねて、私達3人は家を飛び出してきたのだ。
「離婚……かな。」
母がそう言っていた。
正直、エッセイとは言え、あまり思い出したくも無ければ書きたくもない。
私が書きたいのは、離婚した事ではなくて、
1匹の芋虫に、今も、この瞬間も囚われている私なのだ。
だが、小説を進める上で書かなくてはいけない。これは義務なのだ。