高校三年生の二学期――。
千莉奈は秀外恵中で誰もが憧れる可憐な女の子。
千莉奈の目標は優秀な兄よりも良い大学に入ることだ。千莉奈は兄を心から尊敬する一方で、常に兄と比較されてきたことによって劣等感を拭い切れず、常に兄を意識し、兄を越えるためにずっと生きてきた。そのため恋愛には疎く、自分から誰かを好きになったことがなかった。
九月中旬、千莉奈は河川敷のススキを見にきた一葵と出会う。一葵は芸術大学に通う四年生で絵を描くことが生き甲斐で、それ以外に全く興味がなく恋愛感情を持ったことがない。
この出会いをきっかけに千莉奈と一葵の感情が徐々に動き出す。
また千莉奈は将来について考えているうちに、周りと自分を比較し、なぜ自分には将来の夢がないのかを思考するようになる。そして心に封印していたトラウマと感情が蘇り、暗い感情が爆発してしまう。
千莉奈の恋愛感情の芽生えと心のトラウマを乗り越える成長ストーリー。