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 一緒に歩いてきた渡り廊下を戻っていく早川の後姿を、千莉奈は無言で見送った。早川が右手で涙を拭う仕草が目に入り、千莉奈は後悔のような罪悪感のようなものがあることに気付いた。

 純粋な好意を浅はかな気持ちで受け止め、弄び、傷つけてしまった。幼稚で最低な行為をしてしまったことが情けない。遣る瀬ない気持ちとともに涙が込み上がり、千莉奈の視界を滲ませる。沸々と自分に対する怒りが押し寄せて胸がつかえる。千莉奈は涙を流す資格はないと自分に言い聞かせ、零れそうになった涙をグッと堪えた。畳み掛けるように熱くなっていく目頭が偽善に過ぎない気がして、千莉奈は余計に自分に対する苛立ちを覚えずにはいられなかった。
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