シェア
「……おまえ、全然役に立たねえじゃねえか」614ページより
と。
緊迫状態の中、お兄ちゃんは零に向かって言った。
「……おいおい。ここで能無しの俺に追い打ちをかけんのかよ」
「普段偉そうなこと言っといて何で何もできねえんだよ、レイ」
「え、今じゃねえとダメなの?その文句今じゃねえとダメなの?」
零はひとつため息をつく。
「前に暴走したときに、星羅に助けられてな。助けるっつっても、こっぴどくやられて殺されかけただけなんけど。そんとき屈服されちまったんだよね」
「何さりげなく笑い話にしよーとしてんの」
雅也がツッコむ。
「こうなることが分かってたからちょっと行方くらましてたんだけど、星羅に見事に見つかってしまいましたよね」
「……おまえ、」
と。
そこでようやく、ルイが星羅に向き直る。
「おまえ、レイよりも強かったのか?」
「そうだよ。びっくりしただろ?」
星羅が答える。
「バカ言うなよ。オマエが命令使わなきゃ5分で沈めてやる」
「5分で沈められる奴に屈服されたのはどこのどいつだよ」
「あのときは暴走してたからたまたまだ。オマエにしたら僥倖だったな」
「減らず口。自分の股間潰せって命令してやろうか」
「それは勘弁」
「………」
お兄ちゃんが黙る。
どうして黙ったのだろうか。