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653ページより
「────白い花をくれてありがとう。あれは本当に嬉しかった」
────セーラは、窓枠に立ったまま俺たちの方を見て言った。
まるで、もうお別れみたいな言葉を。
最後に言うみたいな言葉を。
「嬉しかったけど、あの花はもう散って赤く染まった。私の心臓が貫かれたあの時、花が染まったと同時に、セーラルイーズは死んだ」
「………」
「あんたたちの知ってるセーラは死んだ」
「………」
「さようなら」
そう、笑顔のまま。
ただし、俺たちに見せていたのとは違う、いつもとは違う、その笑顔。