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夕陽が部室を茜色に染め上げる中、二人は忘れられない出会いを果たした。

君の痴態が忘れられないんだ。雅鳳飛恋

現役高校生ライトノベル作家の黛実親は、幼馴染に用があり映画研究部の部室へ赴くが、その場で衝撃的な光景を目撃してしまい呆然と立ち竦む。 なんと視線の先では、学園のアイドルの一人に数えられている同級生の久世紫苑が自慰に耽っていたのだ。 一番恥ずかしい姿を目撃されてしまった紫苑は、表情を変えることなく魅入られている実親に声を掛ける。 問い掛けに対して実親が「何故そんなことを……?」と尋ねると、彼女は「その方が背徳感があって興奮するから?」と答えた。 これが二人の出会いだった。 幻想的とも思える耽美な情景が脳裏に焼き付いてしまった実親は悶々としながら帰路に着く。 そして父と夕食を共にしていると、彼の口から再婚話を聞かされる。 詳しく話を聞くと再婚相手の女性には娘が二人いると判明。 しかも一人は実親と同い年らしい。 実親は同い年の女子という単語に、学校で衝撃的な出会いを果たした紫苑の顔が脳裏に浮かび余計に悶々としてしまう。 そして脳裏に焼き付いた痴態に苛まれながら過ごすこと五日。 遂に相手の家族と対面する日がやってきた。 するとそこいたのは―― これは辛い過去を抱えた少年と、家庭環境の所為で苦労している少女を中心に紡がれる物語である。 小説家になろう(ミッドナイトノベルズ)、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。
  • ラブコメ
  • 連載中 100ページ
されるがままの千歳は顔が段々紅潮していき、唯莉のテクニック? に身を震わせてしまう。
 その反応を見逃さなかった唯莉が愉快そうな顔つきで尋ねる。

「あ、感じた?」
「何言ってんの!」

 図星だった千歳は先程までとは違う意味で顔を赤らめる。耳まで真っ赤だ。
 誤魔化そうとして懸命に平静を装っているが、悲しいことに全く説得力がなかった。

「それよりいつまで揉んでるの!」

 身を捩って唯莉の魔の手から脱出を試みるも、残念ながら身体に力が入らない。

「良いではないか、良いではないか」
「悪代官!?」

 唯莉は余程愉しいのかノリノリである。
 いや、悪ノリだ。変態おやじと化している。

 人目も憚らず百合を展開している二人の背後から呆れを隠し切れない表情で近付く影が一つ。

「何やってんの」

 影の正体は慧であった。
 彼女は背後から近付くと、唯莉の短いスカートをたくし上げる。

 すると当然臀部が丸見えになる。肉付きの良いプリっとしたお尻だ。
 いつもは隠れている乙女の花園には、サイドストリングにチュールをふんわりと被せた赤いショーツの姿があった。
 下尻が見えていたのは本人の名誉の為に黙っておいた方が良いだろう。

「きゃ!」

 唯莉は千歳の胸から手を離して自分のスカートを抑える。

「赤か。情熱的だね」
「慧のえっち!」
「それをあんたが言うか……」

 恨みがましい眼差しを向けるが、慧には全く効いていない。
 その事実に唯莉は頬を膨らませる。

「慧ー、助かったよー」
「よしよし」

 慧のお陰で魔の手から逃れられた千歳は助けを求めるように彼女に抱き着く。
 呆れた顔で千歳の頭を撫でる慧は、まるでいじめられた妹をあやす姉のようであった。
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