目が覚めて。

また、見覚えある天井に思わずハァッとため息をつく。

「目ぇ覚めてそれかよ、」

ハッと笑い声が聞こえて、
ゆっくり身体を起こすと、また目眩がした。

「寝てろよ、」

そう言いながら、わたしの手首を取り、

「ん、正常だな。」

と脈を計るのは。

「涼さん、」

「ったく、さっきまで俺が診てたんだぜ?
で、目ぇなかなか覚まさねぇから、諦めて帰った途端、呼び出されてよー」

「そう、だったんですか、」

意識を失う前、薬の匂いがしたのは、涼さんが来てくれたからだったんだ。

わたしが目を覚ます前にタッチの差で帰ってしまい、すぐまた呼び出されて、今に至るそう。

「ったく、いつからお前はそんなにお転婆になったんだよ、」

「っ、ごめん、なさい、」
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