フィーナはこの日、待ちに待った20歳の誕生日をむかえた。
人間ながら大きな魔力をもつ彼女は、すでに15歳のときに羆の獣人であり火羆将軍と名高いゲオルグに番として見初められていた。
フィーナ自身も彼を受け入れたかったが、人間の魔力持ちは20歳の魂染の儀式を終えるまで処女をまもらなければいけない決まりがあった。
ようやく魂染に至り、これで身も心もゲオルグのものになれる!
それが嬉しくて彼のもとへと駆けつけたはいいが、ちっとも手を出してもらえない。
フィーナは知らなかったのだ。
フィーナの成人まで5年も我慢させられていた獣人の劣情を。
しかも、生真面目すぎる将軍のとある誓いのせいで、この先さらに3ヶ月も我慢を強いられることになることを――。
はやく本当の番にしてほしいのに将軍に距離をとられて落ち込む女の子と、大人として接したいのについ箍が外れそうになる将軍の我慢我慢我慢我慢! ――の、ものがたり。