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この神社は地元ということもあり、杏咲は幼い頃から毎年欠かさず初詣にきていた。また仕事帰りや休日にふらっと立ち寄ることも少なくはなかった。 杏咲にとっては、いつきても心が安らぐ落ち着ける場所なのだ。 くるりと拝殿に背を向けて石段を下りながら、静かに息を吐き出して、思いきり吸い込む。そうすれば境内を囲むようにして生い茂る緑の匂いが胸いっぱいに広がるような心地がして、杏咲は人知れず笑みを浮かべた。 ここはいつきても変わらないなぁ、と。