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――時空を超えた青春旅行 七色狭に降る奇跡が、命を讃え夜空を彩る。

夜空へ虹の架け橋を寶井かもめ

――二〇二二年、夏。 高校三年生の琴音は、 彼氏の結弦と、親友の美輝、そして美輝の彼氏の怜と共に海が見える小さな町の温泉旅館を目指していた。 しかし四人を乗せて走るバスは暴走する対向車を避けようとしてダム湖へと転落してしまう。 美輝と怜は助からず、結弦は事故以来目を覚ますことは無かった。 それから七年後――。 中小企業に就職した琴音は流されるまま日々を淡々と過ごしていた。 そんなある日、職場でパワハラを受け、縋るように向かった結弦のもとで琴音は閉じ込めていた感情をあらわにしてしまう。 そして、事故現場の慰霊碑を訪れた琴音。 不思議な黒猫やバス事故の遺族と出会い、七色という土地の伝説を知った琴音が目覚めた先は七年前のバスの車内だった。 なにが夢でなにが現実かわからないまま、時を超えて叶う四人の旅。 未練と共に時空を彷徨う魂を弔う、天伽の巫女との出会い。 戻った過去での様々な体験が、徐々に琴音の心を強く変えていく。 しかし、その世界には大きな秘密が隠されていて――。 時を越えた想いが繋ぐ、愛と命の物語。
  • 文芸
  • 完結 198ページ
美輝? 怜?

 なんでここにいるの?

 ていうか、ここは……どこ?

 わたし、また夢見てるの?

 
 両手で自分の頬に触れてみるが、確かに現実の感触がある。

 ということは、これまでのことが全部、夢?
64ページより