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ケーゴさんの言葉の意味が分からなくて、ゆっくりと瞼を開けた。気付けば窓から差し込む日差しが傾いていて、夕闇が近くなっていた。「寝てる時だけ笑って、エージの話をする時だけ幸せそうな顔して」そっと、腰に手が回る。突然の出来事に身構えると、ケーゴさんは背後から私の肩に額をつけた。「泣く時も……エージかよ」戸惑いながら見つめた視線の先はビリヤード台。その緑色の上に私が落とした涙のしみが点々と出来ていた。「……わ、私」「エージから全部聞いたか?」