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有能な聖女には、地位も名誉も、王子もいりません。

聖女に捧ぐ、ディストピア藤原ライカ

婚姻を間近に控えた或る日。公爵令嬢グレイスの元にやってきたのは、婚約者であるレブロン王国第1王子ハリス。 「婚約を破棄したい」というハリスに、「お望みのままに」と、ふたつ返事で了承したグレイス。 慰謝料を支払う用意があると告げるハリスに、「殿下、ご冗談を」と笑い飛ばした。 グレイス・ベルナ・ローゼンハイムは、ただの公爵令嬢に非ず。 魔神から世界を救った【七耀の星】であり、ラターニア大陸で最も崇められている超攻撃型の『光陰の聖女』である。 「そんな端金などいりませんわ」 彼女はすでに、一国の王子など足元にもおよばぬ名誉と金を持っていた。 別れ際、グレイスは告げる。 「さようなら、殿下。今日の日の決断を、ゆめゆめ後悔なさいませんように」 そんな彼女に恋しているのは、同じく【七耀の星】であり、世界を救う旅で聖女グレイスと苦楽をともにした勇者ライアン。 婚約者がいたグレイスに想いを告げられないまま、泣く泣くあきらめ、泣く泣く祖国に帰還したものの、やっぱりあきらめきれずに、未練タラタラな日々を過ごしていた。 ※ 『小説家になろう』掲載
  • ファンタジー
  • 完結 263ページ
『勇者』は『聖女』に恋をして、

『伝令者』は『魔女』に狂って、

『賢者』と『聖者』と『異能者』は傍観した。
263ページより