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 星音堂に配属されて、蒼は音楽の素晴らしさを知った。このホールのこと。星野から教えられた音楽の知識。そして、関口から与えられる生の音。なぜこんな素晴らしい世界を今まで知らなかったのだろうか。配属先が音楽ホールだと聞いて、最初は困惑していた。想像もつかない部署で、自分がどうなるのかまったく思い描けなかったからだ。

 だがしかし。流刑地と呼ばれているここは、蒼に生きる力を与えてくれる場所でもあった。
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