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エルライミサは眠らないと言う。昼は水汲み夜は赤い酒を売る相手として。

双刻のヴァンパイア降る荒野★メトロノーム版いすみ 静江✿

ヴァンパイアの夢は人になること。 人の夢は人を愛すること。 白い古書と黒い古書の縁だろうか。 天(てん)と呼ばれしモノは、神でもあり魔でもあった。 今、砂地に埋葬された、異界のエルライミサ・オルビニアンが天の邪眼に狙われる。 永遠の命を手に入れたが、エルライミサの野望は赤い酒を売る日々ではなかった。 同名の妹のエルライミサを憎らしくも思っている。 秋河県(あきかわけん)に暮らす神鏡聖花(かがみ・せいか)と神秘的な力で出会う。 生徒会長の紫藤壱流(しどう・いちる)諸共、異世界へ巻き込む。 紫藤壱流は、彼女を守りたいと奮闘するも、魔の力は恐ろしい。 温泉宿かがみ屋の父も異世界に龍と流れ着いたと思われるが、見つからない。 父は、以前東京タワーの時代から東京スカイツリーの時代へと魔の力で時間を越えていた。 亡くなったと思われる母はどうなってしまったのだろう。 様々な思いを聖花が抱え、父や紫藤と帰還するべく、謎の白い家を飛び出した。 追うは、すれ違っていた筈のエルライミサが二人……⁉ ◇◇◇ ◆主な登場人物 神鏡聖花(かがみ・せいか):女性。16歳。高校生。漆黒のB型。白の古書を持つ。 紫藤壱流(しどう・いちる):男性。17歳。高校生。がんばりたいお年頃のA型。聖花の隠れファン。黒の古書を持つ。 神鏡響也(かがみ・きょうや):男性。56歳。聖花の父。かがみ屋の旦那。そば打ちが好きでしっかりしたO型。 神鏡絵惟(かがみ・えい):女性。聖花の母。写真の中の想い出になっている。A型と推測される。 エルライミサ・オルビニアン:女性。23歳程。異界を漂う女。姉妹がいるとの噂がある。それは、ウズムシのようだとも。 ジャンセル・オルビニアン:女性。51歳。エルライミサの母。赤い酒と関わる。 ◆題名の読み方は、『そうこくのヴァンパイアふるこうや』です。  『ゔ』(うに濁点)が無理な為、カタカナ表記の部分があります。 ◆よろしくお願いいたします。
  • ファンタジー
  • 完結 19ページ
白と黒、長く流れる偉大なる神が現れしとき、我々は『龍』と記す。

 白き龍と黒き龍、纏まりて陰陽入り混じる。

 光と闇、その『玉』より得られし。

 白き龍の玉、光り輝く美しき女。
 黒き龍の玉、闇より仕える力ある男。

 それらは、愛と憎しみを生む。

 人の夢は人を愛すること。
 魔のモノの夢は人を憎むこと。

 これより先、神より与えられし純血の系譜、『Vの系譜』という。
 名も知らぬVの為、子孫を残す際、役に立つだろう。
18ページより