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そんなことを考えながら、パンダを抱きかかえたまま、私はゆっくりと押し倒された。

 鼻にかかったあまい声。身体全部で受ける重み。ネイルポリッシュの不健康なにおい。さっき塗り終えたばかりなのに、また塗りなおしだと意識の遠くのほうでもう一人の自分が呟く。

 首筋にかかる吐息が熱い。

 のに、指を這わせたら、それがまぼろしだと気づいた。

 また夢をみていた。
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