中学3年生の夏に彼は事故で亡くなった。未だに死を受け止めきれずにいた主人公は、高校の入学式で彼の双子の兄だという男子と出会う。事情を知っている幼馴染と、忘れられない彼と同じ顔を持つ男子と過ごす高校3年間。


「昔から異性の友達が欲しかったんだ。親って、長男だから次男だからとか、男の子だから女の子だからって理由で育て方を変えるだろ?」


その役割は私でなくても務まるから、ずっと虚しいまま彼と共にいた。



「だから、オレが知ってることと君が知ってることを言い合おうよ。好きなものとかそういう些細なことからさ」


好物や趣味、苦手なものや思い出を話すうちに、2人は誰にも言えなかった苦悩を共有し、そして2人だけの秘密を作った。


「それは諒汰が故人だから?それとも、恋人だったから同じ顔をしてる俺が気に食わない?」


この世のどこにもいないはずの彼が、高校生になった姿で私の目の前にいた。