君は空を見て、指を指す。
「見て、昨日は星があそこにあった」
「そんなに大きく変わらないだろ星なんか」
「ロマンがないな!男のくせに!」
「俺は基本ロマンはないよ」
「つまらない男だー」
「君は時々失礼だな」
いつもと同じような会話。
それですら、大事な会話。
星にはなりたくないと言った君の言葉が、今はすごく重たく感じる。ケタケタと子供のように笑う君の顔が、いつか霞んで見えなくなると、時々思う。そう思う度に、どうしようもなく苦しくなる。ずっと隣で笑っていて欲しいのに、君はまたそうやって消えそうな笑顔を残す。
どこに行ったんだろう。桜が見たいと言っていたっけ。一緒に、見に行こう、来年も再来年も。その言葉に君はまた笑って、「見れるかな?」って泣いたんだ。
ねぇ見て、月が綺麗だ。夜でも桜が光って見えるよ。