君の血の味は少しうるさい

作者佐久良明兎

 自分好みの性癖な人物と出会えず、大学生活の初っ端から腐れていた望月白香。
 そんなある日、ひょんなことから性癖に超絶どストライクな人物、若林紅太と出会う。
 吸血鬼の末裔であるという彼は、満月の夜に血を欲して理性を失い、銀髪赤目に変化するという特徴を持っていた。

「……それ、なんて二次元?」

 私の意思とは関係なく、手が、指先が、小刻みに震える。

 慌てて震えを止めようと、私は自分の頬にその手を押し当てた。

 やはり震える唇を必死に押し開きながら。いつの間にか、からからに乾いてしまった唇を舐めて湿らせ、私は満月を背に立ちすくむ彼を見上げる。




「……それ、なんて二次元?」



 つまり。

 これは私こと望月もちづき白香しろかという名の変態が、自分の性癖にクリーンヒットする男性と、まるで事故が如くに出会ってしまったというお話である。