いろんな水瀬君を見るたび、想いは大きくなっていくのに、水瀬君の心の中には、ずっと違う人がいる。
「恋なんて、そんな綺麗なものじゃない」
吐き捨てるようにそう言って
無糖のコーヒーを啜った彼は
一瞬、顔を歪ませた。
静かに息を吐き出して立ち上がると
何が食べたい?と笑って私に
言ったけれど、その目には
薄い膜が張っているように見えた。
花 と 春