色が見えなくなっていく彼女は僕に恋をして。「普通に」色が見えていなかった僕は彼女に恋をして。
僕は彼女以外の色を手放した。
見えなくなってく世界と、見えるようになっていく彼女の世界。
なんて理不尽なんだろう。
誰かの日常は、別の誰かの非日常で。そんな交われない僕らだから、何が「普通か」だなんて分かりっこない。
僕らが見えてる色が、他の人には少し違った色に見えていて。
けれどそれを皆が、概念的に「青」と言うのなら。
この世界の「普通」はきっと──ありふれた宝物と同じ顔をしているのかもしれない。