物語全体のあらすじ
とあるホテルで豪華な誕生日パーティーが行われているが、主役である
母の再婚で名家の娘になっただけで、自分は兄や姉とは血が繋がっていないのだ。日々重くのしかかるプレッシャーから、パーティー後に琴子はホテルを抜け出していた。
立ち寄ったコンビニで酔っ払いに絡まれた琴子はひとりの青年に助けられる。美しすぎる男はレイジと名乗った。そして彼も、今日、二十歳の誕生日だと言う。ふたりで誕生日会をしようとバーに連れて行かれる。気が付けば彼に自分の身の上話をしていた。
『今の自分は、誰にも必要とされていない』と酔っぱらいつつ語る琴子に、レイジは熱っぽい目を向ける。
翌朝、目が覚めると裸でベッドの中にいた。
動揺した琴子は慌てて服をかき集めて逃げ出す。こっそり屋敷に戻ったが、朝帰りをしたことで兄の
両親は、琴子もそれなりに年頃なのだから、そろそろ身を固めるべきではと言い出すが、ひそかに琴子に執着する淳弥は、猛烈に反対する姿勢を見せたのだった。
それから日が経ち、両親から呼び出された琴子は、見合い相手を見繕ったと身上書を見せられる。自分に価値があると思えない琴子は、両親がそれでいいと思うのなら、と受け入れる。
相手もかなりのエリートだが、会話をしていても心が動かない。見合い相手が離席しているところで、声を掛けられる。誰だろうと顔をあげると、なんと誕生日の夜に会ったレイジだった。
このホテルのケーキが大好きで、買いに来たと言う。
「俺と一緒にケーキ食べよう」と言われて、うなずいてしまう琴子。手に手を取ってホテルを出てしまう。
そして一方、琴子に執着している純也は、自分の手の中に納まらなくなってきた琴子を閉じ込めて、歪んだ愛情をぶつけようと画策し始めていた。