「さっきはごめん」から始まるショートストーリー。
悲しく、切ない女性の失敗談です。


「さっきはごめん」

携帯電話に表示される謝罪の言葉に私は胸を痛めた。

最初から怒ってなんて無かった。最初から許していた。でも、貴方を困らせたくて怒ったふりをしていた。そしたら会えるかもって思ったから。

耳に響くのは規則正しい機械音。鼻をくすぐるのは多種多様の薬品の匂い。目に映るのは静かに眠る貴方。首には包帯とギプスが巻かれている。

貴方の声はもう二度と聞けない。

私は白く、寂しい部屋で一人目に熱を溜めて嗚咽混じりの吐息を零した。


ごめんなさいを言うのは私。