私の幼馴染は、癒し担当である。

作者幅生

大学には進学せずに、幼馴染の父親が経営する会社で簡単な雑務をこなす社会人、歩。

慣れない仕事に疲弊する彼女の最大の癒しは、"とある事情"からともに暮らす幼馴染だった。


イケメンな幼馴染、紀良に癒されながらもその言動に時々翻弄されてしまう歩。



ーー普通の友達では無いけれど、恋人でもない。…


私には幼馴染がいる。


高身長でハーフだから、時々抜けていることを踏まえても、かなりかっこいい部類に入るであろうイケメンだ。





けれど、そんな彼に彼女が出来たことはない。




幼稚園は覚えてないけど、小学校は田舎すぎて同学年は私達だけだったし、中学では彼は不登校になってずっと家にいたから、そもそも他人との関わりがなかった。



高校は別だったけど、彼は男子校に通っていた上に、毎日二人でーーしかも彼のお迎えでーー登下校をしていた。


仮に校外で彼女が出来ていたとして、休みの日まで私を優先するのはおかしいだろう。







ーー私は知っている。





何故、彼に恋人がいないのか。


何故、そこまで他人との関わりを断つのか。







ーー私だけが知っている。