fuga~ガラスに沈む夕陽~

作者桐嶋ハトメ

何もかもから逃げ出した私が、偶然辿り着いた、小さな喫茶店『フーガ』。
そこは、誰もが本当の自分を取り戻せる、不思議な空間だったーーーー

婚約者に裏切られた東城千紗は、会社を辞め無気力に過ごしていたところ、偶然の出来事が元で喫茶店fuga(フーガ)の店主、藤代要と出会う。店を訪れた千紗は、藤代の人…


「これを見て、キミは何を感じる?」





そう言って、マスターらしき男性は背後を振り返った。








私は、思ったことを正直に口にすることにした。





目の前のこの人は、それを望んでいると思ったから。








「綺麗で…哀しいです、とても」