「絶対に好きにならない」約束

作者鹿花

茜は、初恋のせいで25歳になった今も、恋愛への恐怖心が消えない。
それなのに親友の海にも迫られ、
安心して好きになれるのは「絶対に好きにならない」約束をしてくれた千尋だけ。

茜と同じ世界で生きる穏やかな海と、
夜の世界で生きる綺麗であやうい千尋。
3人は「絶対に好きにならない」約束と茜、千尋、そ…

「大丈夫。約束どおり俺は絶対にあかねを好きにならない」



 千尋ちひろの腕が私を抱く力を強くした。


 その顔が私の顔にゆっくりと近づき、唇に視線を感じる。


 一瞬キスされるのかと思ったが、千尋は頬を私の頬にやさしく押しあてただけだった。



「だから、安心して俺を好きでいたらいいよ」



 耳元でささやく千尋の声はどこまでも優しい。



 私と千尋の「約束」は私を守り、千尋を縛り、

 そしてどこへ向かうんだろう。



                 (第1章「約束」29頁より)


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