私は「わたし」を始めます。

作者なな

 主人公の橙子と古夏は、幼馴染として幼少期~10代をふたりで過ごし、ゆっくりと恋心を育んでいた。思いを伝え合ったことはなかったが、お互いに相手を思っていることは、なんとなく自覚があった。

 ただ、橙子の結婚によりふたりは疎遠に。数十年の年月を離れ離れで過ごす。その後、橙子が62歳のときに夫が交通…

 主人公の橙子と古夏は、幼馴染として幼少期~10代をふたりで過ごし、ゆっくりと恋心を育んでいた。思いを伝え合ったことはなかったが、お互いに相手を思っていることは、なんとなく自覚があった。


 ただ、橙子の結婚によりふたりは疎遠に。数十年の年月を離れ離れで過ごす。その後、橙子が62歳のときに夫が交通事故で他界。橙子の夫の死を知った古夏が橙子に会いに行き、ふたりが再開するところからストーリーは進展していく。


 橙子に再開した古夏は、橙子が働き口を探していることを知ると、自分が経営するアンティークショップで働かないかと持ちかける。一緒に過ごすうちにふたりの間には過去の恋心があわく出てくるものの、世間体や子どものこと、今は亡き夫の気持ちを考えると橙子は前に進めない。そんな橙子に対して、主に古夏からモーションをかけていく。


 年齢も性別も気にしない。自分の「好き」の気持ちを大切に育んで、相手と関係を深めていく恋愛と人生の物語。

 初めての仕事で戸惑う橙子が、社会人として成長していく姿も見どころ。