物心ついた時から、ほかの女の子より頭1つ飛び抜けて高い身長だった。
「うーん、なんていうか伊織にはピンクより青が似合うし、フリルたっぷりのワンピースよりシンプルなパーカーが似合うのよね」
なんて母に言われるくらいには周りの華奢な骨格の女の子と違ってがっしりした骨格だったから、着られる服は限られていたし、まん丸でぱっちり二重の薄くピンクに染まった頬が愛らしいあの子とは違って、凛々しい顔立ちだから真顔だと怖い、と大人からも言われるような見た目だったから、無駄にニコニコしていた幼少期。
「あいつ、女のくせにスカートにあわなくね?男がスカート履いてるみてえでおかしいの!」
「てか、おれより背高いし足速いし、むかつく」
自分で言うのもあれだけど男子より女子に好かれていたし、その時点でふわふわした可愛い洋服を身につけて、くまのぬいぐるみやうさぎのリュックを持ち歩く女の子に自分はなれないのだと悟った。
それから十年ほど経った高校の入学式で、私は私より可愛いひとりの男の子と出会う。
「内藤さんかわいいのに、なんでそんな自分に自信ないの?」
「おれ、お世話とか言わない性格だけど?」
「好きな物に囲まれることの何が悪いの?後ろめたさ感じる必要なくない?」
素直で可愛くて、かっこいい彼に翻弄されっぱなしです……!
「……いや?好みの女の子を自分色に染めてるみたいで興奮するなあって見てただけだよ」
「?、?!?」
「あは、かわいー」
―――どうなる、私の高校生活?!