君にさよならを言う前に

作者佐倉華月

家族がおらず、一人暮らしをしている藤崎悠真(15)は、高校の入学式へ向かう途中に、同じ高校の制服を着た少女とぶつかってしまう。

すると少女は、悠真と目が合った瞬間に言った。

「私と付き合ってくれ」

初対面の少女からの告白を当然のように断った悠真だったが、彼女は構わずつきまとってくる。実は妖狐であり、鈴邑神社の神様に仕えることを目指す彼女は、人間を大切に思う気持ちを養うための修行として、鈴邑雨音と名乗って高校へ通うことになったのだという。そして、最初に目が合った人間とよく付き合い勉強させてもらいなさいと、神様から命じられていた。

彼女のあまりのしつこさに、仕方なく協力することにした悠真。

未熟な彼女の尻尾は二本。尻尾が増えて五本になれば、修行を終えて神様の眷属になることができる。

ともに過ごし、少しづつ惹かれ合いながら、物語は着実に別れへと進んでいく。