どんなに頑張っても兄貴には追いつけなくて、どんなに必死に追いかけても兄貴を追い越すことはできない。
兄貴の背中を追いかける度に自分の非力さに嫌気がさして何度も逃げ出したくなった。
こんなに完璧な兄貴が居て、俺がいる意味なんてあるのか?何のために俺は生まれたんだろうって思った。
そんなある日、兄貴が後継ぎを放棄した。やりたいことがあるからと。そして俺がお父さんの後継ぎとして勉強するようになった。
「俺、兄貴に負けないから」
勝ち負けなんてあるのか、と問われれば分からない。だけど、いつか兄貴を追い越してみせると誓った。
「楽しみにしてるよ、洸」
城月家 次男 後継ぎ
9月22日生 城月 洸
天梨 イナリ様の企画 # 誕生石で彩る小説企画 に参加させて頂く作品です。