人生大一番の告白が失敗に終わった夏。

藤崎亜美は、飛行機事故に巻き込まれる。

17歳という若さで亡くなった亜実は、死後、迷える魂となった。

死後の世界、——つまり天国に行くためには、人生でやり残したことを、成し遂げなければならない。

三途の川を渡る手前で、“死神”にそう言われた。

「天…


 明日の朝には何かができると信じて、ラインのメッセージには絵文字をつけた。


 嘘みたいに晴れ上がる空を見ながら、なにかに期待する時間が少しだけ近くなる。そんな気配の上澄みを叩いて、今すぐに何かがしたいと思えないのは、いつからだろうか。


 町外れの交差点に佇む信号。乗り捨てられた自転車。眠れない夜に体を起こして、ポカリスエットを買いに出掛ける。通りすがりの人影を追うように迷い込んだ公園の隅で、月が落ちる夢を見たのは、「昨日」か、「明日」か。